初心者のための壊れないものづくり ~解析(CAE)紹介~

解析(CAE)とは

解析(CAE)はComputer Aided Engineering の略称で、

コンピュータによって支援されたエンジニアリング(設計や製造に必要な作業)

という日本語になりますね。コンピュータを使うわけですから、つまりパソコン上で動くソフトウェアということになります。ですので、解析ソフトウェア、シミュレーションソフトウェア、CAEソフトウェアなどの呼び方で販売・使用されています。

 構造力学、材料力学、伝熱工学など主に学術的に研究・発表されている公式がソフトウェアに盛り込まれています。3D CADで作成した3Dモデルに力や熱の条件を加えて、JISや設計基準に必要な試験に耐えられるか?あるいはどのような形状にしたらより良くなるか?ということを実際の物を試験する前に事前に検討(シミュレーション)するためのものです。

ですので、業種や人によって検討したい項目が違います
例えば・・・

「装置の部品が壊れないかを検討したい」
「電子部品が熱で壊れないか検討したい」
「振動が悪さをするか見たい」

など挙げればキリがありません。日々これらを研究されている大学の先生をはじめとする研究機関の方々がいらっしゃいます。つまり解析(CAE)ソフトウェアもその分種類があるということになり、種類だけで言っても相当な数があります。ご興味がある方は下記リンク先の「主な解析の種類」をご参照ください。

リンク:Wikipedia:CAE

解析(CAE)のメリットとは

 ものづくりにおける設計者は仕様の決定、デザインレビュー、納期の調整、性能試験…など。日々様々な判断をしなけければなりません。解析(CAE)を使用することでカタチの決定・確定の判断材料に使えます。これがない時はいわゆる 勘・コツ・経験 に頼ることになりますね。ものづくりにおける勘・コツ・経験は過去のノウハウが活かされるものであるため非常に頼りになります。熟練の設計者ともなれば、「だいたいわかる」という知識と経験で高いレベル製品を設計することができます。しかし経験が浅い若手や初心者の方、または熟練の方でも経験したことがない新しい形状や素材、機構の検討・設計の際にはどうしてもそのクオリティが下がってしまう恐れがあります。そこを補うために解析(CAE)を使うのが良いと考えています。
 また解析(CAE)には一般的に以下のメリットがあるといわれています。

①根拠のある設計ができる。
②勘・コツ・経験が使えない場合、問題が発生した場合、設計の指標にできる。
③データとしてノウハウをためて展開できる。
そしてこれらの副産物として、よく言われる

 

「評価実験の回数が少なくなる」
「開発期間が短縮される」
「製品のコストが下がる」

というメリットを享受できるようになります。

初心者にオススメの解析(CAE)ソフト

 結論を先に言いますと、オススメは

CADと一体化している解析(CAE)ソフトです。

 私の設計としての経験則上、設計者は様々な判断をゆだねられ、また報告もしなければならないためどうしても忙殺されがちです。そのような状態のときに自分のちょっとした閃き
「ここの形状を変えたら、強度は良くなるだろうか、熱の条件は良くなるかな?」
というようなアイデアを直ぐに試すことができないソフトはダメです。
 CADと解析(CAE)が別のソフトである場合、CADで変更したモデルを解析(CAE)ソフトに適用させるのも面倒ですし、解析(CAE)はCADと違って毎日立ち上げるようなものではないので、久しぶりに立ち上げたソフトの操作を思い出す時間ももったいないです。また解析(CAE)を行うために必ずモデルの修正が必要になります。アイデアを試すだけでなく、計算速度を上げるために形状を単純化したりすることは必須になってきます。断言しておきますが、CADと解析(CAE)のソフトが別の場合、解析(CAE)ソフトを立ち上げなくなります。

最後に…具体的なソフトの紹介

 値段との兼ね合いもあると思いますが、個人的なランキングを最後にご紹介します。

1位 SOLIDWORKS
(https://www.solidworks.com/ja)

 1995年にリリースされたアメリカのCAD。とにかく先ずCADが使いやすい!これだけでも価値があると思います。解析の設定も単純でメッシュ作業(多くの人が悩みます)がとても楽。日本で一番使われているCADとSimulationソフト(という話のようです)、取り扱い販売代理店やエンジニアが多いのも特徴。「設計者向けCAE」ということを全面的に押し出しているため、複雑な現象などには追従できないシーンもあるが、強度・熱流体・振動・樹脂流動と種類も豊富で拡張性もあり好感触。近年は親会社のダッソーシステムズ社の解析ブランドSIMULIAとのクラウドによる機能統合も狙っており、今後にも期待。ローカルにインストールするソフトならこれが一番だと思います。

2位 Fusion360
(https://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview)
 
オートデスク社(アメリカ)のクラウドベースのCAD。とにかく安い。安いのにSOLIDWOKRSに負けないくらい高機能。クラウド(ネットワークに常時接続、セキュリティ面の問題)でも問題ない、大きなアセンブリを扱わないというような方にはピッタリだと思います。解析においては、少し複雑な非線形解析などを行う場合は、クレジットを消費するタイプで都度課金が必要であるという話ですが、静的応力、モード周波数、熱、熱応力の場合はローカルマシンで解析を行えるので初心者は問題なしです。クラウドベースで値段も抑えたいという方はこれが一番だと思います。