評価の高さを徹底比較!メドック格付けワインで最も評価の高いワインは?【2級編】

 ボルドー格付けワインは、世界中のワインラヴァーを魅了する憧れのワインです。
 しかし、高価なワインであっても、必ず期待どおりの感動をもたらしてくれるとは限りません。ワインも飲み物である以上、好みで決まる要素は強いですが、考察の価値はあるでしょう。Y’s NOTEでは、様々な角度から、格付けワインを検討していきます。
 今回の記事では、評論家や口コミサイト等の評価を基にコスト・パフォーマンスの高いワインを探っていきます。今回は、格付2級に焦点を当てます。
 なお、シャトーの歴史などを中心に、それぞれの格付けワインの概要についての記事を個別に作成していく予定にしています。

ワインの評価まとめ

 以下に、評論家やアプリの評価結果をまとめたものを示します。私自身がワインを選ぶときに、「こういう表があったらな…」と思っていたものです。
 一つ一つのワインを定性的に、自分自身の言葉で紹介していきたいところですが、私よりずっと優れた先生方が様々な場面で評価をしてくださってますし、全てのワインを同時に比較したわけでもありませんので、このような評価の寄せ集めによる検討の方が真実に近づけるのではないかと考えました。

ワイン名(一部省略)価格PPVivVinHJ
Ch.L.ラス・カーズ21,400 – 50,00094.34.43.644
Ch.D.ボーカイユ14,300 – 50,00094.24.43.644
Ch.L.ポワフェレ9,320 – 30,00094.04.33.544
Ch.モンローズ12,500 – 30,00093.84.33.634
Ch.コス・デストゥルネル17,380 – 30,00093.64.43.624
Ch.R.セグラ9,500‐20,00093.04.23.44
Ch.P.L.バロン13,178 – 30,00092.94.43.684
Ch.ラスコンブ10,600 – 20,00092.54.23.453
Ch.L.バルトン9,800 – 25,00092.34.33.444
Ch.P.L.コンテス・ド・ラランド20,000 – 35,00091.34.43.634
Ch.ブラーヌ・カントナック7,018 – 15,00091.34.23.423→4
Ch.G.ラローズ9,116 – 25,00089.54.23.484
Ch.R.ガシー8,778 – 12,98089.54.03.373
Ch.D.ヴィヴァン5,830 – 15,00084.44.03.313
※掲載順序は、パーカーポイントが高い順 
 青字 … 価格ないし評価が低いもの  
 紫字 … 最低価格は低いが幅のあるもの
 太字 … 価格ないし評価が高いもの  

今回の検証の結果

最も評価の高いワイン

 表を見ても分かるとおり、最も評価が高かったのは、シャトー・レオヴィル・ラスカーズと、シャトー・デュクリュ・ボーカイユの2本でしょう。
 コス・デス・トゥルネルやモンローズの評価も総じて高いと言えます。
 もし、コストを度外視して1級に迫る最高のワインを選びたいのであれば、これらのワインを選ぶと間違いないと言えるでしょう。ただし、その際にはヴィンテージに気を付けてください。

コストパフォーマンスに優れたワイン

source : Chateau Leoville Poyferre 公式HP

 当サイトでのイチオシは、シャトー・レオヴィル・ポワフェレです。今回の検証での価格レンジが広いため、実際に購入する際の金額には注意が必要ですが、総じて評価が高い割には、価格が抑えられていると言えます。

評価について

 販売価格については、2020年2月〜3月頃、楽天市場等から確認しました。多くの場合、2013年で価格が低く設定されており、最安値で販売している業者の金額を入れています。また、最高値は2000、2005、2009など2000年以後の当たり年で、特別な古酒は除いています。
 なお、極端なセール品は除いていますが、例えば扱っている業者が少ないワインは、①2013などのヴィンテージが売っていない、②価格設定の低い業者での扱いがないなどの理由で、最低価格が高めに表示されているかもしれません。ですので、価格はあくまで参考と考えてください。
 PPはパーカー・ポイント※、Viv、Vinはワイン評価アプリVivinoとVinicaのヴィンテージに関係ない評価で、括弧書きは評価数です。
 HJは、ヒュー・ジョンソンのPOCKET WINE BOOK 2017に記載されている星の数を記載しています。
 なお、PPは、『ワインと手土産〜ホームパーティーを華やかに』から引用させていただきました(2010-2014年のPP平均得点です)。

 

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検討詳細

2級全体についての評価

 他の級に関する記事がまだなので比較は難しいですが、作成してて感じたことは、ヒュー・ジョンソンの評価が2級を象徴している評価であろうということです。
 ヒュー・ジョンソンの格付2級に対する評価は、ご覧のとおりほぼ全てが最高評価となっており、今回の評価では最も参考になりません。
 しかし、基本的にこれらのワインは小売価格で1本1万円以上するワインであり、飲食店でグラスで注文すれば1杯3,000円以上するワインなので、通常であれば最高評価を得ても当然というべきワインなのです。
 そういう意味では、全てのワインが高い評価を得ているものの、一部の評価の低いワインがその格付けにふさわしいワインかどうかを問われていると考えるべきでしょう。
 一方で、それらのワインの市場価格もやはり低く抑えられていることから、格付けという枠を取り払ったフラットな視点で、どのワインがコストに見合ったパフォーマンスを見せるのかを検証すべきだと考えました。
 そして、今回の検討の結果、ヒュー・ジョンソンのコストパフォーマンスに関する評価(数値の赤色)についても、楽天での販売価格が低いものに軒並みお買い得の評価がついていることを踏まえると、信ぴょう性が高いと判断することができました。

評価から見えてくるポイント

 まずはロバート・パーカー氏の評価を見ていきたいと思います。
 パーカー氏が高い評価をしているワイン(ベスト5)は、レオヴィル・ラスカーズ、デュクリュ・ボーカイユ、レオヴィル・ポワフェレ、モンローズ、コス・デス・トゥルネルです。
 一方、VivinoとVinicaの評価では、ロングヴィル・バロン、コンテス・ド・ラランドが比較的に高く評価され、コス・デス・トゥルネル、モンローズ、ラス・カーズ、ボーカイユはパーカーと共通であり、ポワフェレはやや低い評価となっています。
 総合的に最も高い評価を得ているのは、ラスカーズとデュクリュ・ボーカイユであると言えるでしょう。しかし、やはりこの二つは相応の価格設定となっています。
 パーカー氏の評価は世界のワイン価格に影響を与えると言われてきましたが、それはワインの価格を決定するという意味ではありません。一方、Vivino等の評価は、偶然かもしれませんが、価格と連動している傾向にあるように見えます。穿った見方をするのであれば、VivinoやVinicaの評価が、価格に影響されていると考えることもできるかもしれません。
 これらを総合的に勘案した結果、ポワフェレを最もコスト・パフォーマンスに優れたワインとして評価することとしました。
 今後、3級以下のワインも同様の検討を続けるとともに、色々な方の意見を参考に修正を加えていきたいと考えていますので、ご意見いただけたらうれしいです。

 なお、品質はヴィンテージによって大きく左右されますので、注意してください。ヴィンテージ・チャートについては、下記の記事を参考にしてください。

 

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