評価の高さを徹底比較!メドック格付けワインで最も評価の高いワインは?【3級編】

 ボルドー格付けワインは、世界中のワインラヴァーを魅了する憧れのワインです。
 しかし、高価なワインであっても、必ず期待どおりの感動をもたらしてくれるとは限りません。ワインも飲み物である以上、好みで決まる要素は強いですが、考察の価値はあるでしょう。Y’s NOTEでは、様々な角度から、格付けワインを検討していきます。
 今回の記事では、評論家や口コミサイト等の評価を基にコスト・パフォーマンスの高いワインを探っていきます。今回は、格付2級に続いて、3級に焦点を当てます。
 なお、シャトーの歴史などを中心に、それぞれの格付けワインの概要についての記事を個別に作成していく予定にしています。

 2級編はコチラ↓↓↓↓

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ワインの評価まとめ

 以下に、評論家やアプリの評価結果をまとめたものを示します。私自身がワインを選ぶときに、「こういう表があったらな…」と思っていたものです。
 一つ一つのワインを定性的に、自分自身の言葉で紹介していきたいところですが、私よりずっと優れた先生方が様々な場面で評価をしてくださってますし、全てのワインを同時に比較したわけでもありませんので、このような評価の寄せ集めによる検討の方が真実に近づけるのではないかと考えました。

ワイン名(一部省略)価格PPVivVinHJ
Ch.パルメ30,250 – 50,00094.44.53.774
Ch.M.St.テグジュペリ6,160 – 13,04092.04.23.363
Ch.カロン・セギュール11,880 – 20,00091.74.23.514
Ch.ディッサン6,380 – 12,98091.04.13.40
Ch.ボイド・カントナック6,842 – 15,27890.74.13.383
Ch.キルヴァン5,280 – 12,22290.34.13.513
Ch.ランゴア・バルトン7,062 – 10,78090.34.13.483
Ch.L.ラギューヌ6,369 – 15,59890.24.23.453
Ch.ジスクール6,600 – 14,96089.84.23.433
Ch.マルキ・ダレーム・ベッカー5,990 – 8,82989.53.93.15
Ch.カントナック・ブラウン5,979 – 11,88089.04.13.352→3
Ch.ラグランジュ5,280 – 11,55088.34.13.363
Ch.デスミライユ5,280 – 8,80086.84.03.172→3
Ch.フェリエール5,720 – 10,31886.53.93.243
※掲載順序は、パーカーポイントが高い順 
 青字 … 価格ないし評価が低いもの  
 紫字 … 最低価格は低いが幅のあるもの
 太字 … 価格ないし評価が高いもの  

今回の検証の結果

最も評価の高いワイン

source : Chateau Palmer 公式HP

 最も評価が高いワインは、シャトー・パルメでした。
 これは見るまでもなかったかもしれませんが、他を寄せ付けない断トツの評価です。
 今回の評価の中では、2級のワインを含めても最も評価の高いワインであり、現在格付けをやり直したとしたら1級に相当するとも評価されています。そういう意味では、5大シャトーよりは低い価格で取引されていることもあり、お買い得なワインであるともいえるでしょう。
 総合評価で2番手はカロン・セギュールであり、価格帯もその評価を表しています。
 また、カロン・セギュールはハートのラベルでも人気があります。

コストパフォーマンスに優れたワイン

source : Chateau Kirwan 公式HP

 2級編以上に非常に悩みましたが、今回推奨するのはシャトー・キルヴァンです。
 詳細な検討結果は、記事の最後で説明したいと思います。

評価について

 販売価格については、2020年9月頃、楽天市場等から確認しました。多くの場合、2013年で価格が低く設定されており、最安値で販売している業者の金額を入れています。また、最高値は2000、2005、2009など2000年以後の当たり年で、1999年以前のワインは除いています。
 なお、極端なセール品は除いていますが、例えば扱っている業者が少ないワインは、①2013などのヴィンテージが売っていない、②価格設定の低い業者での扱いがないなどの理由で、最低価格が高めに表示されているかもしれません。ですので、価格はあくまで参考と考えてください。
 PPはパーカー・ポイント※、Viv、Vinはワイン評価アプリVivinoとVinicaのヴィンテージに関係ない評価で、括弧書きは評価数です。
 HJは、ヒュー・ジョンソンのPOCKET WINE BOOK 2017に記載されている星の数を記載しており、赤字はコスト・パフォーマンスの高いワインと評価されたワインです。
 なお、PPは、『ワインと手土産〜ホームパーティーを華やかに』から引用させていただきました(2010-2014年のPP平均得点です)。

 

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検討詳細

3級全体についての評価

 最も印象深かったのは、2級の評価をしたときと比較して各評価がバラけており、興味深い内容となったということ。全体としては2級に劣るものの、評価の高いいくつかのワインは2級と遜色ない評価を得ているということが分かりました。

評価から見えてくるポイント

 最も評価の高いワインがシャトー・パルメであることは火を見るよりも明らかでした。
 しかし、どのワインがコスト・パフォーマンスの高いワインと評価すべきかの判断をするのは非常に難しくなっています。
 まず注目すべきは、ヒュー・ジョンソン氏がパルメの他で唯一4の評価を付けた上、コスト・パフォーマンスが高いと評価しているシャトー・カロン・セギュールでしょう。2級のワインと比較してもなんら遜色ない評価を得ているこのワインですが、価格帯も2級クラスと同等であるといえ、飛びぬけてお買い得とは言い堅いかもしれません。
 次に目に付くのは、パーカーの評価が高いシャトー・マレスコ・サン・テグジュペリでしょうか。Vivinoの評価も高いのに、Vinicaの評価は特に低くなっているのが気になります。
 さらに、
・ シャトー・ディッサン
・ ボイド・カントナック
・ キルヴァン
・ ランゴア・バルトン
・ ラ・ラギューヌ
・ ジスクール
は混戦模様を呈しており、評価も価格帯もかなり近いところにあります。これに続くのは、カントナック・ブラウンラグランジュでしょう。
 最低価格は、概ね2013年のものが多いと説明していますが、まさに2013年が突出して悪いワインは、最低価格が抑えられているという事情もありますし、流通量の違いなどによっても条件は異なります。例えば、マルキダレームベッカーやランゴア・バルトンは市場に出回っている数がとても少ない印象があります。
 私の感覚的な部分はありますが、日本で注目を浴びており、また流通量の多いのは、ラ・ラギューヌ、ジスクール、ラグランジュでしょうか。ラギューヌは頭一つ値段が高いイメージがありますが、楽天で確認した限りは上の表のとおり、意外と他とそれほど変わらない価格帯で提供されているようでした。
 コストパフォーマンスに関する評価はこういったプロセスを経て非常に判定に迷いました。今後、変更するかもしれませんが、安定した評価を得ているにも関わらず、価格が特に低く抑えられているのは、キルヴァンとラグランジュではないでしょうか。
 格付け3級のコスト・パフォーマンスについての記事を書き始める前、ラグランジュはその品質に比して非常に安価に抑えられていると良く耳にするワインですし、ジスクールなどもイメージから近年の様々な資料での評価も高いことから、これら2つのワインを選出することになるだろうと考えていました。しかし今回判定に使用した評価を見ると、その上をいく評価を得ているキルヴァンが同じような価格で市場に出ていることから、今回の評価ではキルヴァンを1番に選びました。
 私自身飲む機会も少なかったワインですので、今後はラグランジュやジスクールなど同格と思われるワインと飲み比べをして見極めていきたいと思います。

 なお、品質はヴィンテージによって大きく左右されますので、注意してください。ヴィンテージ・チャートについては、下記の記事を参考にしてください。

 

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